豊かな食事は、フランスのライフアートに欠かせない要素。アイデンティティの一部とされています。
大西洋横断航海によって、そんなフランスのライフスタイルが世界中に知られるようになりました。最新の設備を誇り本格的なフランス料理を提供していたイル・ド・フランス号は、豊かで美味なフランスの食材を幅広く、多くの乗客に紹介するという、大きな役割を果たしました。
ふたつの世界大戦の合間に、フランスとアメリカの経済は繁栄の時代を迎えます。アメリカの上流階級の間では、大西洋航海が大人気となり、イル・ド・フランス号の乗船券は飛ぶように売れました。そして、富裕層だけでなく、あらゆる層のアメリカ人がヨーロッパへの渡航を夢に見たのです。
また、アメリカは、フランスの特産品を輸入した初めての国です。人々は、ワインや酒類、チーズ(1938年だけで99トン輸入!)などの、フランスからの輸入品に魅了されました。
大西洋航海は、フランス料理だけでなく、レストランで女性のためにドアを開け、椅子を引くという習慣や、ディナーの席での会話の妙やマナーをはじめ、フランスのライフスタイルも世界中に広めました。他にも、テーブルのセットアップやドレスコードなど、さまざまな文化が広まりました。
今日、フランス料理と、フランスの文化・ライフスタイルが世界中で確固たる存在となっているのは、この時代の、大西洋横断航海の影響が大きいのです。